自分の都合から離れる
川越市のおかやす学(岡安学)です。
野球には、完全試合というものがあります。
一人も塁に出さないことです。
ノーヒットノーランというものがあります。
ヒットもホームランも打たれない、というものです。
ノーヒットノーランでも、野手がエラーをして、出塁を許せば、完全試合ではなくなります。
2006年、中日ドラゴンズの山本昌(やまもとまさ)投手が、相手チームからヒットを一本も出さない、ノーヒットノーランを達成しました。
山本選手は、当時、41歳で、最年長での記録達成でした。
試合後のヒーローインタビューで、山本選手に、テレビ局のアナウンサーがこう尋ねました。
4回のエラーがなければ、完全試合でしたね?
しかし、山本選手の答えは意外なものでした。
いや、あのエラーがあったからこそ、記録を達成できたのです、と。
つまり、エラーがあったから、打順のめぐりあわせが良くなり、記録を達成できた、と言うのです。
アナウンサーの言葉は、「人間の欲」をあらわしています。
あのエラーさえなければ。
あいつさえミスしなければ。
もっといい結果をもたらしたのに。
自分を中心にものごとを見ています。
そうすると、エラーをした三塁手を恨んでしまいます。
しかし、自分の都合を離れて、「ありのまま」を受け入れることができたら、どうでしょうか。
エラーというミスをありのまま受け入れることができたからこそ、山本選手は、うらみを感謝へ変えることができたのです。
人生は、「こうしておけば」、「こうだったら」と悔やめば悔やむほど、後悔の連続の人生となります。
わたしたちは、自分にとって都合の悪いことが起こると、嘆き、悲しみます。
でも、その都合が悪いと思われたことが、実は、仏さまのはたらきであった、と受け止めていける人生を歩めたとき、うらみが感謝へと変わっていきます。
参考 『やわらか子ども法話』桜井俊彦著 法蔵館出版